Fraunhofer HHIと1Finity、オープン光ネットワーキング研究で協力開始

Fraunhofer HHIと1Finity、オープン光ネットワーキング研究で協力開始

国際研究プロジェクトSHINKA、共有テストベッドインフラストラクチャ、オープンかつ分散型光ネットワーク分野における先進的な研究開発

2026年3月13日

Fraunhofer Heinrich Hertz Institute 1FINITY、オープン光ネットワーキング研究で協業を開始
国際共同研究プロジェクト「SHINKA」、共有テストベッド基盤、標準化活動を通じ、オープンかつディスアグリゲーション型光ネットワーク分野における長期的なパートナーシップを構築


光ネットワークシステム分野での研究開発において世界的に先導的な研究を行うドイツの研究機関であるFraunhofer Heinrich Hertz InstituteFraunhofer HHI)と富士通グループでネットワーク事業を担う1FINITY株式会社(以下、1Finity)は、オープンかつディスアグリゲーション型(注1)光ネットワーク分野における研究開発を共同で推進するため、2026313日に長期的な協業を開始しました。

本協業は、マルチベンダー環境において光伝送ネットワークの計画・運用・自動化に向けた新たなアプローチの開発と検証を目的としています。

AI社会を支える光ネットワークの新アプローチ

生成AIや大規模データ処理の普及により、データセンター間を中心とした光ネットワークのトラフィックは急増し、通信インフラにはかつてない柔軟性・拡張性・自動化が求められています。一方で、マルチベンダー化やディスアグリゲーション化の進展によりネットワーク構成は複雑さを増し、設計・運用・障害対応の高度化が大きな課題となっています。

Fraunhofer HHI 1Finity は、これらの課題に対し、実ネットワークを模した環境で検証できるデジタルツインや、異なる機器構成を評価できるマルチベンダー・テストベッドなどの基盤技術の研究開発を通じて、よりオープンで高度に自動化された次世代光ネットワークの実現を目指します。


共同研究プロジェクトSHINKA  (Secure Hybrid digital twin network INfrastructure with Knowledge-based Analytics)

本協業の中核となるのは、Fraunhofer HHI 1Finity が共同で実施する国際研究プロジェクト SHINKAです。SHINKAはオープンかつディスアグリゲーション型光ネットワークのためのデジタルツイン連携基盤 の研究プロジェクトで、ドイツ連邦共和国連邦教育研究省(BMBF)及び日本の総務省の支援を受けています。

両者はSHINKA において、オープン光ネットワーク向けのフェデレーション型(注2デジタルツイン連携の開発に取組んでおり、複雑な光トランスポート・インフラストラクチャにおける、ベンダーに依存しない形でのモデリングやシミュレーション、高度解析を可能にします。またそれにより異種・マルチベンダーネットワーク環境での、ネットワーク運用状態の分析を行うAIを活用したネットワーク運用支援制御及び自動化コンセプトを実証するための基盤技術の提供を目指します。

マルチベンダー光ネットワーキング・テストベッドの拡張

Fraunhofer HHI は、実ネットワークを再現した、AI 対応・SDN(注3)制御型の大規模マルチベンダー・テストベッドを運用しています。今回の協業に伴い、同テストベッドに1Finityの最新世代の光トランスポンダー(光送受信機)が追加されました。

これらの統合により、複数の通信事業者間における相互接続性、性能、自動化に関する幅広い検証が可能となり、SHINKAの研究活動の基盤となるテストベッドを構築します。本テストベッドは、市場に導入する前段階の研究や、オープンかつディスアグリゲーション型のネットワークアーキテクチャの検証のために、様々な通信事業者や通信機器ベンダーが活用、検証できる中立的な試験環境として機能します。

ベルリンとデュッセルドルフ間のテストベッド相互接続

両者は、今後、Deutsche Telekom社(注4)の光ファイバインフラを活用し、ベルリンとデュッセルドルフのテストベッド環境を相互接続する計画も進めています。これにより、地理的に分散した研究環境が構築され、クロスサイトでの実験や、実ネットワークに近いマルチドメインシナリオの検証が可能になります。これは研究成果を実験室レベルから実運用光ネットワークに展開するうえで大きく寄与するものです。1Finityが同テストベッドに提供する「Ultra Optical System」ポートフォリオには、CL バンド対応 ROADM ソリューション、高度な液冷式「Ultra Optical System T950 1.2Tbトランスポンダーをはじめとした100Gから1.2Tbまでのトランスポンダーとマックスポンダー、新しい「Ultra Optical System P300 800G ZR/ZR+コヒーレントプラガブルトランシーバーが含まれます。また両者は、デジタルツイン技術の重要な実現要素である1Finityの光トモグラフィー(注5)と光センシング技術の発展に向けても協力します。

IGNITE イノベーションクラスターでの協力

本協業は、Fraunhofer HHI1Finityを含む複数パートナーと共同で新たに設立した、インテリジェント・グリーン光ネットワーク・イニシアチブ(IGNITE: Intelligent Green Optical Networks Initiative)における取組みの一環でもあります。IGNITE は、研究機関・産業界・通信事業者が協力し、オープンで分散型の光ネットワーキング技術の開発・検証・評価を共同で進める枠組みです。

標準化・業界活動における共同活動

Fraunhofer HHI1Finityは、共同研究およびテストベッドでの取組みを踏まえ、国際標準化団体および業界イニシアチブへの貢献を強化します。これには、テレコム・インフラ・プロジェクト(TIP(6)及びIOWN (Innovative Optical and Wireless Network) Global Forum(注7)の枠組みにおける、マルチベンダー相互運用のための中立的な試験環境としての活用が含まれます。

この拠点は、オープンインターフェースの検証支援や相互運用性の課題特定、オープン光ネットワーク環境における統合作業負荷の削減を目的としています。

今後について

これらの協業を通じて、Fraunhofer HHI1Finityは、オープン光ネットワークアーキテクチャの研究、マルチベンダー相互接続実験検証、オープン光ネットワーク標準化のための共通基盤づくりを進めていきます。そして、研究機関・テストインフラでの検証結果・産業界の知見を密接に統合することで、将来の通信インフラを支える相互運用性に優れ、高い拡張性と自動化を備えた光ネットワークの実現に貢献します。

なお、SHINKAプロジェクトの研究成果は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))よる委託研究(委託番号:J012368G09201)、及びドイツ連邦共和国連邦研究・技術・宇宙省(BMFTR) による「Digital Twins and Data Models for Fully Optical High-Speed Networks 」プログラムにより得られたものです。

Fraunhofer HHIHead of Digital Signal Processing GroupDr. Johannes Fischer氏は次のように述べています。
IGNITE は、産業界と研究コミュニティを連携し、インテリジェントでグリーンなオープン光ネットワークのブレークスルーを加速する基盤です。1Finity とともに、次世代ネットワーク技術において欧州が主導的な役割を果たせるよう、実世界のイノベーションを推進しています。」

Fraunhofer HHIDeputy Head of Digital Signal Processing Group Dr. Behnam Shariati 氏は次のように述べています。
SHINKAを通じて、私たちは異種・マルチベンダーインフラストラクチャ全体にわたる一貫したモデリングと検証というオープン光ネットワークの重要な課題に取り組んでいます。デジタルツイン連携は、自動化、相互運用性、そしてデータ駆動型ネットワーク運用のための重要な基盤を提供します。」

 

1Finity株式会社フォトニクスシステム事業本部長の松井秀樹は次のように述べています。
「当社は最新のトランスポンダー技術をFraunhofer HHIのマルチベンダー・テストベッドに統合することで、共同実験と検証に向けた強力な環境を構築します。この連携により、オープン光ネットワークのコンセプトを実運用に近い条件下で検証し、イノベーションを加速します。」

【商標について】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

【注釈】

注1 ディスアグリゲーション型:光伝送システムに必要となる送受信機能、多重・分離機能、スイッチ機能をそれぞれ分離し、用途によってユーザーが自由にその機能を組み合わせることで構成変更が可能となる装置アーキテクチャ。
注2 フェデレーション型:複数の通信事業者が保有する運用管理システムが、自社だけの運用状態だけでなく、他社の運用状態と動的に連携を行いながら運用を行うアーキテクチャ。
3 SDNSoftware Defined Networkの略。人手を介さず、ソフトウェアで自動的にネットワークの運用状態を変更可能なネットワークアーキテクチャ。
4 Deutsche Telekom:本社 ドイツ・ボン、CEO Timotheus Höttges
5光トモグラフィー:光ファイバを伝搬する光信号状態を、サービスを中断せずに常時監視可能な光監視技術。
6 テレコム・インフラ・プロジェクト:2016年に発足した、オープンで相互運用可能なネットワーク技術の開発・導入を加速することを目的とした非営利のグローバルコミュニティ。
7 IOWN (Innovative Optical and Wireless Network) Global Forum2020年に 発足した、光(フォトニクス)を中心とした次世代通信・コンピューティング基盤の実現に向け、技術仕様やアーキテクチャ、ユースケースの策定を進める非営利のグローバルコミュニティ。

 

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